国際情勢のお勉強

定期購読している田中宇ニュース(https://tanakanews.com/index.html)で、最近の国際情勢について勉強している。まずは、ウクライナ情勢関連としては、3月31日付の「欧露冷戦の再開」(https://tanakanews.com/240331europ.php)と、4月2日付の「ロシア強化のため米国がやらせたモスクワのテロ」(https://tanakanews.com/240402crocus.htm)と言う記事がある。いずれも、国内マスコミには全然出てこない見解だ。

まず前者から。ウクライナ戦争はこれまでロシアとウクライナの戦いであり、欧米NATOは軍事支援するだけで直接戦争しないことになっていた。NATOと直接対決になると、条約の性格上、世界戦争に発展する可能性が高くなるからだ。しかしウクライナ軍の兵力不足が深刻化し、ポーランドエストニアラトビア・フランスが派兵する話が浮上している。もっとも、ポーランドはずっと以前から大規模に派兵していたけれど。この結果、ウクライナ戦争は欧州vsロシアの戦争に発展した。ただし全面的にではない。戦いの場はウクライナ限定なので。

もし完全な欧露戦争となれば、ロシアの爆撃機ポーランドその他の都市を攻撃することもミサイルが飛び交うこともあるはずだが、実際にはそんな状態には双方とも行きたくない。お互い、大怪我ないし致命傷を受けかねないからだ。無論、米国も。

一方で、戦争のエスカレートは起きている。これまで露軍はウクライナの軍事施設だけを攻撃し、民間施設をできるだけ攻撃しないことにしていたが、今回の転換で民間インフラを攻撃するようになり、ウクライナの半分が急に停電するようになった。

この転換と前後して、3月22日にモスクワのコンサート会場でテロ事件が起きた。これにも複雑な裏事情があったようだ。

日本の報道では明確ではないが、ウクライナ軍の崩壊は確実なようだ。英仏独のそれぞれが、別の形ではあるがその実情を認めている。だからこそ、欧州各国が派兵するのだ。

しかしNATO第5条の規約=加盟国の一つが外敵から攻撃されたら、NATO全体が攻撃されたのと同等とみなし、NATO全体が外敵に反撃するとの決まりがある。だから、そのまま行くとロシア対その他の全面対決になり世界戦争になり得るため、各国の派兵自体は非公式に行われてきたし、ドイツ政府はもっと弱気な解釈をして、極力、正式な「戦争」状態を回避してきた。

米国も同様で、ウクライナや欧州に戦争をやれとけしかけたくせに、自国が戦争に巻き込まれるのは御免で、足抜けしている。つまり、米国は口先だけ勇ましいが、いざとなると同盟諸国を守ってなどくれないのだ。今、欧州は自滅的な戦いを強いられている。つまり、このウクライナ戦争は、欧州を自滅させるために米露が組んでやっている戦争だというのが、田中氏の見立てなのだ。なんてこった。

今回、岸田首相が訪米して日米同盟をさらに強化するなどと約束してくるが、実際に中国と戦うなどとなったら、米国は、これまたさっさと足抜けするに違いない。日本の自衛隊と中国軍を戦わせて、実力を測るだろう。日米「同盟」など、幻想に過ぎない。実情は、米軍の下請けまたは身代わりにしかならないのだ。「属国」の悲しさだよなあ・・。

対米従属の独仏EUは、米国が認めない限り対露和解できない。本当は、和解してロシアから資源輸入を再開するのが最も国益に合うのに。それには、クリミアとドンバスの露による領土化を公式に認知し、事実上ウクライナ戦争の敗北を認めないといけないが、米国は認めないし欧州自身のメンツもあって、この妥協は容易にできないのだ。しかし戦線拡大はさらに傷口を広げるからダメだ。故に、欧露は対立したまま、冷戦状態のまま時が過ぎるはず。しかしそれはまた、欧州自滅への道である。世界の欧米支配が崩れ、政治経済ともに多極化と非米化が進む。日本も、他山の石とすべきである。

モスクワのテロについては、米国の手引きでウクライナ諜報機関イスラム過激派テロ組織ISIS-Kを使って引き起こした可能性が高いと言う。通常のイスラム過激派がテロを実行する際には、実行犯に「聖戦(テロ)をやると天国に行ける」と思い込ませて、死ぬことを怖がらせずに自爆テロをさせるものだが、今回の実行犯はカネ(25万ルーブルの成功報酬)で雇われたらしく、露当局に捕まっても抵抗せず、逮捕されて生き延びる道を選んでいる。この点でも今回のテロはこれまでと性格が違う。

田中宇氏曰く、ウクライナの諜報・軍事活動は、すべて米国(諜報界)に監視・誘導されている。今回のテロも、米国が命令ないし考案したものだ。実行犯の後ろにウクライナ諜報機関がおり、そのまた後ろに米諜報界がいる。黒幕は米国だ、と。

このテロはロシア国内を、米英ウクライナと闘う方向で結束させた。911ブッシュ政権が米国内を「テロとの闘い」で結束させたように。それじゃ、米国はなぜそんなことをさせるのかと言えば、米諜報界を牛耳るのが隠れ多極派であり、ロシアを強化して中国と結束させて、世界を多極化・非米化するのが彼らの目的なので、これで成功しているのだと。

国際情勢は、何とも摩訶不思議な世界ではある。国内の日本語報道だけでは、どうにも確実な理解はままならない感じだなあ。