今後の世界経済

4月21日の田中宇国際ニュース解説(https://tanakanews.com/index.html)は、会員向けの有料記事だったが、相変わらず大いに勉強になった。前回書いた金地金の話の続きに近い内容だったが。

アラビア半島の両側、つまり対岸がイランのペルシャ湾と、対岸がエジプトの紅海は、世界貿易の主要航路だが、現在では両方とも通行許可を事実上イランが握っているらしい。

まず、紅海の航路はイエメンのフーシ派が握っているが、このフーシ派はイラン傘下にある。これが親イスラエル国の船を空爆して追い払う半面、中露など非米諸国の船は通す。またペルシャ湾とインド洋をつなぐホルムズ海峡の通行許可はイランが直接握り始めている。つまり世界貿易の大きな部分が、イランの影響力下にある。

以前は米国の軍事外交力が強くてこんなことは出来なかったが、最近は米軍が弱くなり、フーシ派やイランを制御できていない。

サウジは表向き親米・米傀儡国を演じながら、実質的に中露イランと結託する非米側の国に転換しつつある。イランとサウジは昨年、習近平の仲介で和解した。おそらく、サウジは米側より非米側と緊密に繋がる方が将来性が高いと踏んでいるだろう。多分それは正しい判断だ。

米国・欧日など米側は中露イランを「新・悪の枢軸」に指定するつもりのようだが、中露イランにとっては痛くも痒くもない。中露イランはサウジ・インドなど他のBRICSと結びついて新しい非米系の経済圏を構築するつもりだ。現に彼らはすでに資源類も巨大消費市場も製造技術も持っているから、米側にどんな「意地悪」されても、もう困らなくなっている。世界の政治・経済における米国一強支配体制は、既に崩れているのだ。

米国自体も、イラン系の航行制限による資源類の高値、品不足、インフレに悩まされている。国内外の流通網の詰まりが続くため、インフレが収まらない。インフレが酷いので利下げなど出来ず、むしろ利上げさえ必要になっている。しかし利上げすると財政赤字がさらに悪化する。財政赤字の急増は米国債の過剰発行であり、長期金利の上昇を招く(現に上がり始めている)。金利が上がれば国債利払いも増加するから、財政赤字がさらに増大する。IMFなどが(たまりかねて)米国に警告したが無視されたそうだ。無視するしかなかったんだろうけれど。

こんな状態なので、基軸通貨であるはずのドルが、いつ崩壊するか分からない。日本国内ではそんなことは何も知らされず、生命保険を外国通貨建てにする方が金利が高いのでトク、なんて宣伝されているが、ドル建ての保険なんて、もはや危なくて「買ってはいけない」商品だろうに。ドルがこんな状態だから金相場が上がる話は前回書いた通り。

要約すれば、米欧日側は先進国として一見優位に見えるが、実質的には資源がなく「おカネ」だけは潤沢だが少子高齢化とインフレの傾向が続く。インチキな温暖化対策などに乗ってしまい、自滅的な方向に進んでいる。本当なら、中露イランなど非米側諸国と仲良くして相互互恵の関係を結ぶのが正しいのに。

日本も同じだ。今回の岸田訪米演説でも分かるように、今の日本は完全に米国の支配下にある属国である。いつまで、米国一強伝説を信じるのだろうか?あの岸田演説は、まさに歴史に残るほどの米国隷属宣言だった。バイデンさん、お望みなら足の裏でもなめってみせます、みたいな演説だったのだから。右翼の皆さん、もっと怒って下さい!日本人の誇りは、どこへ行ったんだと。

それにしても、今、麻生太郎がトランプに会いに行くって、意味不明。ついこの前、岸田が上記のように追従してきたばかりなのに、この時期にトランプに会いに行く意図が分からない。岸田がこれを許したのか、麻生が反対を振り切って行ったのか不明だが、バイデン政権からは不愉快にしか見えないはず。それに、この頃外務大臣の上川は全然出てこないな・・。何してる?SDGsの次のバージョンを考える会議に出席?今はSDGsなんて言ってる場合なのかね?