国際社会の実相

前に紹介した「田中宇の国際ニュース解説」等から仕入れた情報をいくつか紹介する。

まず、ハンガリーのオルバン首相が最近、年次の演説で以下のような展望を述べている(https://www.rt.com/news/580129-china-overtaking-us-hungary-orban/)。すなわち「覇権国の座が、米国から中国に移ろうとしている。数十年に一度の巨大な覇権移動が始まっている。(米国にくっついていた)西欧諸国は、対露敵視と言う間違った戦略のせいで弱体化しており(非米諸国にどんどん抜かれて)経済大国の番付から脱落していく。」と。

ハンガリーのオルバンなど、日本では知っている人が少ないかも知れない。彼は右翼的なナショナリストだが、欧州で最も「まとも」な指導者の一人と見なされる。なお、指導者が「まとも」であるとは、世界の現実を直視し、物事を正確に判断できる資質を持っていることである。オルバンは、ウクライナ戦争が欧米を自滅させる超愚策だと早くから警告していた。また彼は、EUが巨額の使途不明金を伴った稚拙なウクライナ支援で財政資金を使い果たし、財政破綻寸前であると暴露もしている。彼は、EUの危機を見抜いていると言って良い。

実際のところ、EUは存続の危機に立たされつつある。EUの屋台骨はドイツが支えていた。そのドイツの屋台骨は、メルケルが支えていた。つまり、メルケルあってのEUだったのだ。そのメルケルが退場してから、後継のショルツは政治・経済的に間違った判断を続け、ドイツの存在感は急速に薄れてしまった。代わりに台頭してきたのは、右翼的なナショナリズムで、ハンガリーだけでなく、イタリアでも極右政権が成立したし、フランスでも極右のルペンが大統領選でマクロンに肉薄した。ドイツ国内でもネオナチが勢力を伸ばしている。これら極右に共通するのはナショナリズム、つまり自国第一主義であり。どうかすればEUからの離脱を目指す。もしイタリア、フランス、ハンガリーEUから離脱したら、EUは崩壊の危機となる。EUは再編成されて富裕国と貧民国に分かれるかも知れない。それがEUの現状だ。今の欧州委員会には強力な指導者がいない。そのため、米国の理不尽な要求さえも拒否できず、自滅的な選択ばかりしている。オルバンの指摘する通りだ。

また、ウクライナ戦争の捉え方に関しても、多くの日本人は考え違いをしていると思う。ウクライナ問題は2014年から始まっており、田中宇氏は、その頃から正確かつ的確な情報分析を記していた。それらについては、次回以降に。