気候緊急事態など存在しない

日本のマスコミでは今年の夏が異常に暑かったことなどで「気候危機」を盛んに宣伝するが、実際にはそんなものは存在しない。去年のノーベル物理学賞を受賞したジョン・F・クラウザー氏は「気候緊急事態など存在しない」という中心メッセージを盛り込んだクリンテル世界気候宣言に署名することを決めた。彼はこの宣言に署名する2人目のノーベル賞受賞者で、この宣言に署名する科学者や専門家の数は急速に増えており、現在は1600人に近づいている。

日本では、政府・マスコミが総出でIPCCの主張を丸ごと正しいものとして伝え、気候危機を盛んに強調する。しかし、気象や災害関係の統計データを見る限り、特に最近だけ激甚災害が増えたと言う傾向は読み取れない。気象庁のHPに種々の統計データが載っているから、このことは誰でも簡単に確かめられる。

これらの「気候危機」強調論の大元は、人類の排出するCO2によって地球温暖化が進行し、それによって気候危機が起こるのだとする主張である。しかしこの主張には科学的根拠がない。具体的には、次の3点に要約される。

1)大気中CO2濃度の増加が、地球温暖化を引き起こしているとする科学的根拠が、そもそもない。この点はIPCCなどは「疑いの余地ナシ」としているが、実際、これを証明した科学論文は存在しない。その証拠に、地球平均温度の推移と大気中CO2濃度変化のグラフを見比べれば、両者に共通するのは、長期的には微増傾向と言うだけで、細かく見ると変動の様子は全然違う。つまり、気温とCO2濃度には比例関係は存在しない。CO2が温室効果ガスの一つであることは事実だが、大気中に0.04%しか存在しないCO2が大気温度に影響する割合は小さいのだ。ちなみに、最大の温室効果ガスは水蒸気で、これは大気に1〜3%ある。ケタが違う。

2)人類起源のCO2が大気中CO2濃度変化に及ぼす影響が小さい。これは一般にあまり知られていないが、事実である。自然界で大気と地表を往復するCO2は毎年、炭素換算で200Gt以上ある。交換量は、海と陸でほぼ半分ずつである。人類起源排出量は毎年10Gt程度、つまり全交換量の5%以下しかない。一方、大気中に残留するCO2は毎年約4Gtである。IPCCなどは、この残留CO2が全部人類由来だと主張するが、そんなことはあり得ない。プールに200tの天然水と10tの人工水道水を入れてかき混ぜ、栓を抜いて水を排出し4tだけ残したとき、その4tが全部人工水道水であり得るだろうか?こんなことは子供でも分かるはずだ。5%しか入っていないのだから、残るのも5%、つまり0.2Gt程度と考えるのが自然だ。

この事実の意味は重大である。つまり、人類がCO2排出を全部止めても、大気中CO2濃度の毎年増加量約4ppmの5%、つまり0.2ppmしか変化しないと言う意味だから。つまり、脱炭素政策=CO2排出削減など、いくらやっても効き目はないと分かるからだ。

3)長期的に見れば、地球温暖化は少しずつ進んでいる。気象庁データではその気温上昇値は100年当たり約0.7℃、最近40年間の人工衛星観測データでは100年当り1.4℃である。いずれも、IPCCなどが主張する21世紀末3〜5℃上昇、などという数字からはほど遠い。しかもこの緩やかな地球温暖化が、ハリケーンや洪水、干ばつなどの自然災害を激化させたり頻発化させたりするとの統計的証拠はない。台風の数だって、今年は例年より少ないではないか。

地球の気候は、温暖期と寒冷期を周期的に繰り返してきたことが、地質学から分かっている。最近の小氷期が終わったのが1850年頃で、それから緩やかに温暖化しているのが現状である。

温暖化自体は異常でも何でもなく単なる自然変動の一つに過ぎない。

このように、冷静にデータを眺めれば「地球温暖化の進行による破滅的危機」などは妄想に過ぎないことが分かる。マスコミ報道に躍らされず、物事の実相を直視することが大事だ。