今日は学術的なお話

アゴラに、銀河宇宙線と高層の雲の生成を論じた研究論文の紹介記事を作って送った。専門外の論文なので読むのに苦労したが、世の中に広く知らせるべき価値のある論文と信じて、頑張った。なぜ価値があるかと言えば、この研究はIPCCなどが信奉する、地球温暖化CO2原因説に冷や水をぶっ掛ける内容だからだ。

この分野の研究は、1997年にスベンスマルクと言う学者が提唱した仮説に始まる。太陽活動の変化=黒点数で分かる、が太陽系磁場の強さを変え、その結果、宇宙から飛んでくる銀河宇宙線GCR量が変化し、GCRが地球の雲の生成に影響するため、結果的に太陽活動の変化が地球気候に影響すると言う説だ。

具体的には、黒点数が少ない=太陽活動が弱い時期には、太陽系磁場が弱まり、GCRへの遮蔽効果が緩くなってGCR線量が増える、その結果、地球大気圏で雲の生成が増え、日射を遮るため気温が下がる。実際、黒点数が極度に少なかった1600年代には、異常に気温が低く、ロンドンのテムズ川が凍結した記録などが残されている。

また、名古屋大学などの研究により、屋久杉などの古い樹木で、年輪幅と、その年輪に含まれるC14量に逆相関関係があると分かった。つまり、C14が多い年輪の幅は狭い。C14はGCRが空気中の窒素とぶつかってできるので、この量はGCR量に比例する。年輪幅は、その年の木材生育量で、その年の平均気温に比例することが分かっている。つまり、C14が多い年はGCRが多く、雲の生成が多かったため気温が低く、木材の生育が悪くて年輪幅が狭くなった、との因果関係が成り立つ。これは、スベンスマルク説の「物的証拠」とも言える。

この他にも種々の研究が進み、GCRが何らかの形で地球気候に影響していることは確実であるのに、IPCCなどはこの説を認めず、非科学とのレッテルを貼り続けている。私に言わせれば、CO2原因説の方こそ、気温と大気中CO2濃度変化の明確な相関性を示すことが出来ず、科学本来の厳密性を欠いているように見えるのだが。

それはともかく、今回紹介した論文では、1979年から始まった人工衛星観測のデータを駆使して、GCRの分布・量と、雲生成や海面温度分布などの相関を追究している。結果を見ると、8月にはGCRと雲の生成には明確な相関があるけれど、他の月はそうでもない。つまり、GCRの影響度は、季節によって変わるらしい。それは、雲の生成には、数多くの因子が影響しているからである。また、特に太平洋ではGCR・雲・海洋表面温度の周期的変動がピタリと連動しており、その図には説得力がある。

こうした、地道な研究こそが科学を進歩させる。IPCCや国連の言うことを鵜呑みしていると真実を見失う。特に日本人は、大手マスコミの書くこと言うことを鵜呑みし過ぎだ。もっと自分の目でデータを調べ、科学的合理的思考で因果関係をよく考えないと。