進化論の崩壊?

私はNHKの「ヒューマニエンス」という番組を面白く見ているのだが、多少気になるのは「進化」についてあまりにも楽観的というか目的論的に議論している点である。つまり、生物とか遺伝子に何か変化が起こると、何らかの目的を果たすのに便利なように「進化」した、みたいな論が多すぎる。しかし、生物学の教える進化の様相は、それほど単純ではない。

例えば「種」の概念は「掛け合わせて生まれた子が再び生殖できる範囲」である。例えば、人類は白人黒人何人であろうと混血児も生殖機能を持つから、すべて「ヒト科」の一種である。だから、人種差別は科学的に見ても明白に誤りである。そもそも、全世界的に混血の進んだ現代において「純粋な○○人」など、ほぼ存在しないだろう。むろん、純日本人なども。分かっている範囲だけでも、日本人の起源は北方・南方系があり、縄文人弥生人の混血もある。

一方、ウマとロバの合いの子「ラバ」は生殖機能を欠くので「種」に数えられない。ライオンとヒョウの合いの子「レオポン」も同様だ。つまり「種」というのは結構「頑固」で、容易に入り混じったりしないのだ。

ところが、自然界には無数の生物「種」がいる。最も多いのは昆虫で、哺乳類などは少ないが、それでも6000種以上いる(広義の動物界の0.4%)。簡単に入り混じらないはずの「種」が何故これ程までに多様に分化したのかが謎である。一応の説明として「進化した」と言われるが、そのメカニズムは全然明らかでない。

それに、2018年の話だが、米国政府の遺伝子データバンクにある500万以上のDNAと、10万種以上の生物種のDNAを徹底的に調査した結果、驚くべきデータが出てきたのだ。それは「ヒトを含む地球の生物種の90%以上は、地上に現れたのがこの20万年以内だと結論される」という内容だったからだ。恐るべき、衝撃的な結論だ。進化論が崩壊するからだ。

これまでの定説は、太陽系・地球が46億年前に誕生し、35億年前頃に最初の生命が誕生し、そこから徐々に「進化」して現在に至る、と言うものだった。人間ですら、遡れば400万年前に祖先が現れたとされていたのだ。

ところが上記の研究結果では、地球上の生物の90%以上は20万年より前への遺伝子的な繋がりがない、つまり地球のほとんどの生物は20万年前以降に出現したことになる。

現存する数百万種以上の多様な生物が、ほぼ全部この20万年以内に出現したとすると、その分化の速度は恐ろしく早いことになる。なぜ、そんなことが可能になるのか・・?

実は、今回この話題を取り上げたのは、この件に関する日本語報道が全然なかったからだ。科学メディアにも出ていない。これは、どうしたことだ・・?

私自身は、進化論と言う説をあまり信用してなくて、あの進化系統図なるものも単に化石を古い順に並べただけじゃないの?と言う感を拭えなかったので、進化論が崩壊しても痛くも痒くもないが、進化・分化の謎が一つも解けていない事実は変わらない。