最大のグリーンウオッシュは脱炭素だ

グリーンウォッシュ:英語のWhitewashing(うわべを取り繕うこと)+Green(環境に優しい)を組み合わせて作られた造語。1980年代から米国の環境活動家によって唱えられた。

意味としては、実際には環境に十分配慮していない商品やブランドについて、パッケージやPRなどを通じて「エコ」「環境に優しい」と言った誤った印象を与える行為を指す。言い換えると、科学的根拠や実態の伴わない状態で「エコ」であることを強調する、煽る事例を言う。

偽る方法として、次の6種が挙げられる(https://ja.wikipedia.org/wiki/グリーンウォッシング)。 1 意図的な情報の隠蔽 2 無関係なものを引き合いに出す 3 あいまいさ

   4 証拠がない 5 空言 6 より悪いものとの比較

これらの説明を読んで私が真っ先に思い浮かべるのは、世の中に流行っている「脱炭素」である。この大元は「人為的地球温暖化説」であるが、まとめると以下のようになる。

1)人間の出すCO2によって大気中CO2濃度が上昇する

2)大気中CO2濃度が上がることにより、地球大気が温暖化する(←CO2等の温室効果)その 結果、今世紀末には、地球平均気温は3~5℃もの上昇になるはずだ

3)急激な温暖化によって、大雨・干ばつ・竜巻・山火事・海水面上昇・サンゴ白化その他 種々の環境被害が生じる:異常気象、あるいは気候変動、または気候危機

4)これに対処するには、大元の「人間の出すCO2」を減らす=脱炭素が必要である

 と言う論理である。一見、もっともらしいが、実際に科学的なデータを良く見ると、どの段階にも大きな論理的な穴が空いている。

まず、地球気温の推移を見ると、確かに長期トレンドとして少しずつ上昇しているが、その上昇速度は、人工衛星観測データ(https://www.drroyspencer.com/)によれば100年間当り1.4℃/100年、気象庁サイト(https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/an_wld.html)によれば同0.76℃に過ぎない。IPCCなどが主張するように、今世紀末3~5℃もの上昇は、到底予測しがたい。

しかも、人工衛星観測データでも明らかなように、毎年の平均気温は激しく上下しており、かつ10年規模くらいの周期的変動がある。年によって平均気温が跳ね上がる年があり、顕著な例として1998年、2016年、2020年、2023年などが挙げられる。特に、昨2023年は単年では最高気温を記録しており、国連事務総長などが「地球沸騰化」だと大騒ぎしたことは記憶に新しい。しかしグラフでも明らかなように、こうした「ピーク」はあくまでも一時的現象で長続きしない。実際、ピークが何年も続いた例はない。

一方、大気中CO2濃度はどうかと言えば、これは長年、測ったように一定速度で上昇している(https://www.data.jma.go.jp/ghg/kanshi/info_co2.html)。これは、どこで測っても大差はない。毎年の上下動は季節変化であり、植生の光合成活動の影響を受けるため、北半球で振れ幅が大きく、南半球では小さい。南極の測定値には季節変化はほとんど見られない。年平均値は約2ppmずつ、ほぼ一定速度で上昇しており全体濃度は約400ppmである。つまり毎年約1/200ずつ、すなわち0.5%ずつ増えている。極めて「ゆっくりと」である。

この大気中CO2濃度変化と地球平均気温の変動を比べたら、両者とも長期的に微増している点を除けば、ほとんど相関性が見られない事が分かる。つまり、大気中CO2濃度が上がるから地球気温が上がるとは、とても言えない。これは億年単位の相関でも明らかになっている。

また、地球上の炭素循環を調べたデータによれば、大気と地表面を往復するCO2は、炭素換算で年間約210ギガトン(ギガ=10の9乗=10億)にものぼるが、そのうち人類起源は10ギガトン程度しかなく、大気に残留するのは約4ギガトンである。これらの数字は、IPCC報告書にも出てくるし、残留量と濃度変化も計算が合う。

問題は大気に残留するのは約4ギガトンの内訳だが、IPCCなどはこの全量が人類起源だと主張するが、そんなことはあり得ない。全移動量200ギガトン以上のうち、人類起源は10以下なのに、大気に残る4ギガトンが全量人類起源であるはずがない。どこかに固めて穫っておくなら別だが、CO2は気体なので天然も人工も区別がつかない。一様に放出されて一様に吸収されるのだから、当たり前である。IPCCがなぜこんな非科学的な主張をするのか、またこんな主張が国際的にまかり通るのか、私には全く理解できない。

正解は、大気に残留する4ギガトンのうちの10/210=約5%=0.2ギガトン程度が人類由来である。濃度にすれば毎年上昇幅2ppmの5%=0.1ppmになる。これはつまり、人類がCO2排出を全部止めても、大気中CO2濃度には0.1ppm程度しか影響しない、と言う意味である。

この推測を裏付ける証拠として、先に挙げた大気中CO2濃度変化のグラフを見たら良い。毎年測ったように一定で変化していて、年ごとの変化が全然見られない。2009年のリーマン・ショックや、2020年頃のコロナ禍、あるいはその反動で石炭消費が激増した2022年など、もっと変化が出そうなものなのに、観測値としては全然変動していない。つまり、人間活動など地球全体にはほとんど影響していないのだ。言い換えれば、人間が何かしても大気中CO2濃度にはほぼ影響しない。だから脱炭素など無意味だと言うのだ。

また、大雨・干ばつ・竜巻・山火事・海水面上昇・サンゴ白化その他種々の環境被害が「温暖化」によって引き起こされると言う科学的証拠はどこにもない。全部、憶測に過ぎない。なぜなら、これらの事象は全て、局地的かつ短時間に起こるので、地球規模の「温暖化」と直接関連づけることは、そもそも困難だからである。

こうして見ると、先に挙げた「人為的地球温暖化説」の論理は、各段階で破綻していることが分かる。私には、こんな説が世の中に広く行き渡って多くの人たちが疑いもしないことが信じられない。これこそ「現代の神話」と言って良い。最大のグリーンウオッシュ、人為的温暖化説=脱炭素。