マスコミ報道は、しばしば真実を隠す

昨日届いた「原子力資料情報室通信」の表紙に、対馬市での住民集会の写真が載っていた。9月10日に開かれた「対馬に核のごみはいらない集い」の一コマだ。対馬市豊玉総合運動公園に一般市民や漁業関係者ら580人が参加したという。美しい自然や歴史と文化ある対馬を守りたいという住民の切実な思いが次々とあふれ出た、と伝えている。

その写真には「決起集会」「対馬を守ろう!処分場反対」「ストップ!核ゴミ」などの横断幕が並び、各種ポスターをかかえた人たちがその前に立っている姿が写っている。皆、真剣な顔つきで、緊張感がひしひしと伝わってくる。

マスコミ報道には、こんな写真は載らなかったし、町長が文献調査を受け入れないことを決めたとしか伝えていない。しかしこの決定の陰には、住民からの強烈な反対運動があったようだ。本来なら、マスコミは、こうした住民の動きも正確に伝えるべきだった。なぜ隠すのか?

おそらくそこには、原発推進の国策に対する「忖度」があり、電力会社その他の推進勢力からの「圧力」もあっただろう。次の広告を出さないぞ、とか言われたりして。福島関連を含めて、原子力関係の情報に関して、大手マスコミ報道の「透明度」は低いと思う。

1985年に起きた日航123便墜落に関する情報公開請求の裁判が行われているが、マスコミはこの件についても何も伝えていない。この墜落は「事故」とされているが、当初から種々の疑問が提示されており、単なる事故ではなく「事件」だったのではないか?との疑いが濃厚になっている。そこで、遺族の1人吉備素子さんが原告になって、墜落機のボイスレコーダーとフライトレコーダーの開示請求を行ったが、一審では却下の判決になった。現在は控訴審の段階にある。実は、この一審の過程でも、不可解な出来事がいくつもあったのであるが。

日航123便の墜落は、よく覚えている。夕方7時過ぎのニュースで、既に機影がレーダーから消えたとの第一報があったのに、事故現場が明らかになるまで丸一昼夜かかり、何でこんなに分からないんだろうと不思議に思ったことも。実はこの時点で、大問題があったのだが。

私自身はこの件に何の関係もないが、元日航乗務員の青山透子さんや遺族の小田周二さんの本などを読むうちに、この墜落には不可解な点が多すぎるので、完全な情報開示が不可欠だと思うようになった。しかし、マスコミはほぼ完全無視を決め込んでいる。これは何故なのか?

公開されているボイスレコーダーの記録には不可解な空白があり、何らかの編集が加えられたことは確実である。従って、編集前の完全オリジナル版の公開こそが必要である。この、当たり前の主張が、なぜか裁判では通じない。その不思議さを、マスコミも報じない。なぜ?

ここにも、おそらく、国・自衛隊日航などが、隠したい何かを持つために、マスコミに圧力をかけているのだろうと推測する。そうでなければ、説明がつかないからだ。たかがボイスレコーダーやフライトレコーダーの記録じゃないか?なぜこれほどまでに頑強に開示を拒むのか?愛する肉親が死んだ理由を、遺族が知りたいのは当たり前の話じゃないか。

ジャニーズ問題でメディアの姿勢が云々されて、マスコミは真実を伝えなければ、などと言っているが、本気なのだろうか?本気ならば、まず、これらの件を国民の前に大々的に報じて欲しい。私は取りあえず、これらをマスコミの「リトマス試験紙」に使う。