ラグビーW杯のこと

日本は善戦したが、惜敗した。前回予選突破したので今回も、との期待は大きかったが、現実はそう甘くなかった。世界ランク14位、後に12位に上がったけど、ベスト8へはやはり遠かった。日本の入ったプールでは世界ランク的には4番目だったのに、サモアに勝って3位、次の大会への参加資格を得ただけでも収穫だ。イングランド、アルゼンチンにも善戦し、ボロ負けはしなかった。その戦いぶりは、大いに賞賛されるべきだ。

「日本の敗因は我慢比べに勝てなかったから」との評もあるが、それが地力・実力の差というものなのだ。実際、アルゼンチン戦では接戦になったがリードした場面は一度も無く、終始相手を追いかける展開だった。選手交代で主力がいなくなると、パフォーマンスがやや落ちるのも残念な点だった。後半突き放されるのも、そのせいだ。

今回で、相当数の代表選手が引退すると思う。しかし若い世代に有望株がたくさんいるから、今後のラグビー日本代表の未来は明るい。次の監督にエディー・ジョーンズが再選されれば、さらに良い。エディーは、日本代表と相性が良いと思う。英国、豪州の監督では、思ったほどの成果が出なかった。日本代表なら、かなり細かい要求にも応えるし、無茶苦茶なハード練習にもついてこれる。前々回、南アに勝ったチームもエディーが作り上げた。最後の最後で、選手たちは監督の言うことを聞かずに、トライして勝ったんだけど。

今回はプールAに仏・NZ、プールBにアイルランド・南アが入ったので、他のチームには希望がなかった。5位のスコットランドだって、プールA・B以外ならトップ通過したはずだ。日本もプールA・Bなら絶望的、他プールだったから希望を繋ぐことができた。

さて、決勝トーナメントだ。9月25日現在の世界ランクが1アイルランド、2仏、3南ア、4NZ、5スコットランド、6イングランド、7ウェールズ、8フィジー、9アルゼンチン、10豪州となっているので、貧乏くじを引いたスコットランドの代わりにアルゼンチンが入った格好で、結局世界ランクの上から順に入っているわけだ。今の日本は、このベスト8チームのどこに勝てそうかと見ても、見当たらない。9位のアルゼンチンに負けているんだから。だから、ベスト8はやはり高い壁なのだ。

皮肉なことに、トップ4が同じ山にいるので、ベスト4には2つしか残れない。アイルランドvsNZと仏vs南アは、事実上の準決勝だ。壮絶な闘いになることは避けられない。前者は多分、アイルランドが有利だと思うが、後者は全然分からない。現在のランクは仏が上だが、南アは前回、イングランドに勝って優勝したチームだ。反則とかカードの出方でかなり変わるはず。

残りのウェールズvsアルゼンチン、イングランドvsフィジーは、どちらも前者が勝つと思う。しかし、どこが勝ち上がってもトップ4には勝てないので、準決勝で負ける。決勝は、トップ4の勝ち上がった者同士になるはず。強いて言えば、試合間隔がやや狭いので、1回戦で死力を尽くして闘うと疲労が回復せず、1回戦で楽勝した方が勝つ可能性はある。

日本は、このトップ4とどの点で劣るのか十分研究すべきだ。無論、ベスト8のどのチームにも、またスコットランドにも勝つのは難しいから、彼らにも学ぶべき点は多い。

W杯が終われば、日本国内でトップリーグが始まり、今大会で活躍した有力選手もたくさん来る。彼らが日本のラグビー界レベルを引き上げてくれることを期待する。サッカー界で、ジーコドゥンガストイコビッチブッフバルトリトバルスキーらが果たしてくれたように。