好きな曲 その2

If we hold on together

ダイアナ・ロスの代表曲。大学のクラブの先輩がカラオケで歌っているの聞いて好きになった。メロディも歌詞も良いが、特にメッセージ性に富んだ歌詞が秀逸。こういう、素直で優しい言葉が落ち込んだ人には効くのだ。ダイアナ・ロスのライブ演奏で聞くと、彼女の声の魅力に改めて感じ入る。伸びやかでなんて優しい声だろう。彼女の人間性がそのまま表現されているみたいだ。

Reach

グロリア・エステファンが1996年のアトランタ五輪のために歌った名曲。この曲も歌詞が魅力的だ。If I could reachと言うのは、英文法で言う仮定法過去だが、ここではとても効いている。リズムカルな曲の運びや、much higher、much strongerと言った言葉で象徴されるように、当時の米国の楽観的で明るい雰囲気が反映された曲だと思う。調子が非常に良い。

American Tune

S&Gの数ある作品中、私が最も好きな一曲。上記Reachとは対照的に、曲調と言い歌詞内容と言い、楽天的な雰囲気はまるでなく、内省的な、ある意味では悲観的な、深い内容を含んでいる。メイフラワーと言う船でやって来て、今は月に向かう船まで用意している、しかし必ずも幸福ではない・・そしてAmerican Tuneを口ずさむ・・。この曲は2人で歌うよりもポールのソロ演奏の方が良い気がする。彼自身の問題意識が非常に明確に出た曲なので。1975年のライブでは口ひげを囃していたポール・サイモンだが、1980年には元に戻っている。私はこの方が好きだ。その30年後の2011年ライブで見ると、さすがにポールも老いて顔も少し丸くなっている。この曲の演奏も昔の楷書体から草書体になったような自由自在な境地に達しているような印象。彼もこの曲を何十年と歌ってきたわけだ。

難破船

中森明菜が歌ってヒットした曲だが、原曲は加藤登紀子の作詞作曲。この曲は彼女のアルバムで聴いて一遍に惹きつけられた。何と言っても歌詞が凄い。「たかが 恋なんて 忘れればいい・・ そんな強がりを 言ってみせるのは あなたを 忘れるため さびしすぎて こわれそうなの 私は 愛の難破船」「おろかだよと 笑われても あなたを 追いかけ・・」こんな歌詞を書けるのは、実体験者だけだろうと思う。学生時代の失恋体験から、切実にそう感じる。この曲は、私の心に直に突き刺さった。

とんぼ

長渕剛の名曲。都会の酷薄さとそこに生きるやりきれなさ、しかし東京への憧れも捨てられないアンビバレンスな気持ちが実に見事に表現されていて、痺れてしまう。「トンボが舌を出して笑ってらあ」という歌詞は、普通の人間には思いつきそうもない。この曲も、長く歌い続けられるだろう。

いっそセレナーデ

井上陽水の曲には好きなものが多いが、これはその代表作。サントリー「角瓶」のイメージソングに起用されたそうだが、私が知ったのはずっと後なので由来は知らない。美しいメロディと印象的な歌詞に惹きつけられた。陽水ナンバーは、ワインレッドの心を始め、私のカラオケ楽曲の代表だった。ただし陽水の最近の作品にはあまり心惹かれないけど。

喝采

ちあきなおみの代表作。1972年のリリースだが、50年経っても全然古びた感じはしない。何と言っても歌詞が素晴らしい。これも、短い言葉だけで全ての情景を表現してしまう魔術のような巧みの技だ。それにしても、なんて切ない曲だろう。そしてこの曲を歌うちあきなおみは、ずっと瞬きもせず歌い続ける。あの集中力は凄い。

翳りゆく部屋

荒井由実の数多い傑作の中でも私の最も好きな曲の一つ。これも、ごく短い言葉だけで情景の全てを表現していて、余すところがない。この曲の原曲を作ったのが14歳の時と言うのも驚き。彼女の天才ぶりが良く分かる。でも、歌詞はいくら何でも14歳じゃ書けないよな?あれは、大人の恋の行方を描いたものだから。この曲は椎名林檎がカバーしていて、興味深い。彼女の作品は複雑微妙でカラオケ等で歌うのは私にはとても無理。あのインスピレーションは天才のものだ。その椎名林檎が、数多い荒井由実作品の中でこの曲をカバーしているのが面白い。彼女はワインレッドの心もカバーしているが。