ショックドクトリン

堤未果ショック・ドクトリン」という本を読んだ。時宜を得た、よい本だと思う。全3章だが、半分くらいは第1章の「マイナンバーという国民監視テク」に充てられている。今、盛んに問題になっている「マイナンバー」関連の記述だ。世界各国の事情なども具体的に詳しく載っているので非常に勉強になる。ケッサクなのは、米国政府がこの種のカードを持ち歩くなと警告していること。日本では、ほとんど報道されていないけど。

私自身は、マイナンバーカードを持っていない。2万円のマイナポイントで釣られそうになったが、あれこれ考えた末に、止めた。今のところ、持っていなくても何ら不便は感じない。もし持っていても、机の奥にしまっておいて、外出時に持ち出すことはないだろう。そんな大事な情報源を、万が一にせよ紛失でもしたらどうするんだ・・?マイナンバーの通知票でさえ、原本は厳重にしまっておき、一部コピーしたものしか出さないのに。

来年秋までにマイナンバーカードと健康保険証を一体化して、紙の保険証は廃止すると政府は言っているが、私は最後までマイナンバーカード申請はしない。また運転免許証との一体化も意図されているそうだが、マイナンバー・健康保険証・運転免許証が一体化したカードなど、持ち歩く気はしない。この点でも、私は最後まで抵抗する。この本に書かれているとおり、大事な情報ほど、分散化して保存すべきだからだ。

第2章は、コロナ関連のショック・ドクトリン。かねがね、新型コロナに関しては良く分からないことが多く、また情報が偏っている印象を否めなかったが、やはり、あれこれ「裏」はあったようだ。この本は、コロナの裏面を的確に描いている。ただし、科学的考察は少ない。

私自身は、コロナ用の新しいワクチンがmRNA製だと知った時点で、大丈夫かな?と思っていた。分子生物学をある程度心得ていたので、mRNAが通常は細胞内で短時間に分解されることは知っていたが、ワクチンとして使えるために短時間で分解しないように加工されていることを知り、不安になったのだった。その一部は体内に残るんじゃないか、と。

実際、その予想は当り、mRNAワクチンの一部は体内の各種臓器に残留することは確認された(ワクチン製造会社自身が確かめたのだ)。ただし、日本では一般に広く報道はされなかった。問題はその後だ。長年体内に残留した核酸成分が、後になって何らかの「悪さ」をする心配はないのか?「帯状疱疹」はその一例で、体内に残留した水疱瘡ウイルスが、免疫機能が低下すると悪さするのだ。mRNAワクチンの場合は、打ってからまだ時間が経っていないので、何とも分からない。TVに出てくる「専門家」は盛んに安全性を強調するが、短期はそうかも知れないが長期的安全性は何とも言えないとするのが「科学的」な態度なのではないのか?

第3章は「脱炭素ユートピアの先にあるディストピア」。脱炭素をめぐる諸問題が紹介されており、それ自体は面白いし有用でもある。しかし、その本質的な問題は「人間の出すCO2が本当に温暖化や気候変動の原因なのか?」が、実は科学的には全然明らかにされていないことなのだ。これについては、以前アゴラにも書いたが、また書くことにする。