1)市役所から「過誤納 還付充当通知書」なるものが届いた。「誤納」というのは、正しい税額より多く納付があった場合、または年金天引き分が過納となった場合を指すらしい。今回の対象は市民税・県民税の普通徴収分となっている。
しかし、市民税・県民税は春頃先方から○○円徴収するぞ、と言う通知が来て、一方的に口座引き落としされたものだ。つまり市民・県民税額は行政側が勝手に算定し、引き落したもので、所得税の確定申告と違い、私自身は納税額の算定・納付に関与していない。しかるに、この通知では「誤」過納とあるので、まるで、納めた私が計算違いか何かで納め過ぎたので返してやるぞ、有難く思え、と言っているみたいだ。本来なら、間違って取り過ぎた(=過徴収)のでお返しします、ご免なさい、と言うのが筋だろうに。何だか、非常に失礼な言い分でムカツく。そうでなくても政治家は裏金等の「特権」を享受しているのに。
この種の、行政機関から一般国民への通知類というのは、大体が「上から目線」的であって、言い渡すとか一方的な連絡である場合が多い。本来なら、主権者である国民は行政にとって「ご主人様」であるのに、この物言いは一体何だろう。やはりここには、江戸時代以来の「お上」意識、あるいは官尊民卑的な発想が残っているからではないだろうか?
思うに、この国では国民主権とか三権分立のような、近代市民社会の基本理念が一般市民に根付いていない。それは、歴史の浅さもあるが、本来的に外から与えられたもので、自らが血と涙で勝ち取ったものではないからだ。つまり戦争に負けて進駐軍占領下の条件で整えられた憲法や政治制度、つまり「上から降ってきた」仕組みなので、自ら勝ち取った権利、と言う意識がそもそも湧かない。英国その他では、人権は闘争の末に勝ち取られた歴史があるので、人権意識が根強いのと対照的だ。
しかしその歴史的条件は変えられないので、意識を変えて行くとすれば教育の役割が大きいはずだが、今の日本では、その教育がまたまた貧弱だ。その上にバカなマスコミが衆愚政治をリードする。変えて行くべき大事なキモの部分が腐っているのが絶望的。
2)小学生の頃ハマっていた将棋に、再びハマっている。孫に将棋を教えるためにスマホに入れた将棋ソフトで、自分が対局するようになったからだ。これまでは、NHK杯の中継を見る程度で、自分で指すことは全然なかった。昔、長岡に住んでいた時分に将棋世界と言う雑誌の段位取得のコースに応募して、五段まで取っていたが、実力は初段あるかどうか自信がなかった。詰め将棋も五手詰めくらいなら何とかなるが、七手詰めになると苦労していたので。五段取るまでにも、将棋盤に問題の場面を並べて、何度も指して変化を調べて回答していたのだから実際の実力とはほど遠いことは自覚していた。つまり自他共に許す「ペーパー五段」だったわけだ。
今回始めた将棋ソフトでは、20何級から始まって勝ち進むと昇級する仕組みだ。3級までは比較的順調に昇ったがそこで大分足踏みし、最近ようやく2級になった。その間、二段や初段に勝ったこともあったが、有段者にはかなり負け越している感じ。だから、これから一級、初段と進むのはかなり大変そうだ。「10分切れ負け」というルールで闘っているので、あまりじっくり考えている暇はない。グズグズしていると時間切れ負けになってしまう。実際、詰みがあると思って考えているうちに切れ負けしたことが何度もある。もっとも、完全不利な状況で相手が考えている間に切れ負けになり、負け将棋を拾ったこともあるが。でもそんなのは勝ったうちに入らない。
将棋の面白いところは、最初は同じように始まるのに、いつの間にか見たこともない局面になってしまう所だ。事前にこう来たらこう指そうと思っていても、相手が違う手を指すと、もう全然違ってしまう。だから同じ戦法で闘っても、同じ局面は二度と現れず、終わる時には全然別の将棋になっている。だから飽きが来ない。
YouTubeで強いAI同士の対局などを見ると、人間には指せないような手が出てきて、意味が分からず首をかしげる場面が多い。この前鑑賞した対局では400手を越える大激戦だったが、途中、お互いに取れる飛車や角を取らずに別の手を指して、何でやねん?と解説者ですら絶叫する場面もあった。おそらく、その飛車や角を迂闊に取ると何らかの不利になる手順が罠として仕掛けられていて、AIはそれを見抜いていたんだろう。
人間の藤井聡大などもそうで、負け将棋になってからでも落とし穴をたくさん仕掛けていて、相手は一手でも間違うと奈落の底に落ちてしまう。この前の王座戦もそうだった。先手の永瀬が九割方勝っていたのに、効き目のなさそうな歩の王手をつい王様で取ったために大逆転した。実は、その歩を桂馬で取っていたら詰みは無かったのだ。藤井にはこの他にも最終盤での大逆転将棋が多い。この前、伊藤が藤井に勝った時は、その種の罠を全部かいくぐれたので勝利できたのだ。それだけ精密に読む力が必要なわけだ。
むろん、これらトッププロの将棋は、我々レベルとは次元の違う世界だが、これらは観賞用として楽しむのが良い。我々は、頭の体操として将棋を楽しむ。囲碁や麻雀も楽しいのだが、そこまで手を広げると勉強時間がなくなるので、夜寝る前に指す10分切れ負けの将棋にだけに今は限定中だ。